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#02

山陽新幹線逸脱防止対策工事(SES編成)

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山陽新幹線逸脱防止対策工事(SES編成)
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)では、大規模地震発生時のさらなる安全性向上を目指し、これまで一部区間で進めてきた「構造物の耐震補強」および「列車の逸脱防止対策」を山陽新幹線の全線へ拡大して実施することを決定しました。広成建設はこの大規模なインフラ整備計画の一環を担い、2026年2月11日、山陽新幹線の安全性向上に直結する「地震対策用まくらぎ交換工事」を実施しました。

プロジェクトの背景

山陽新幹線は、西日本の広域交通を支える基幹路線であり、日々多くの利用者と物流を担っています。近年、国内各地で大規模地震が発生しており、南海トラフ巨大地震の発生も想定される中、高速鉄道における安全確保は重要な社会的課題となっています。山陽新幹線においても、阪神・淡路大震災以降の教訓を踏まえ、高架橋柱の耐震補強や落橋防止対策、地震検知システムの高度化など、段階的に地震対策が進められてきました。
本工事は、大規模地震発生時の被害拡大防止を目的に、全線で進められている逸脱防止ガード整備の一環として実施したものです。バラスト軌道区間では、逸脱防止ガードを確実に固定するためにまくらぎの交換が必要となり、全線規模で大量の更新が求められます。今回は、その効率的かつ安定した施工を実現するために導入した、まくらぎ交換専用の大型機械による施工事例を紹介します。
大規模機械化施工のフロントランナーとして
積み重ねる技術
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この工事の課題と狙い

本プロジェクトにおける最大の課題は、膨大なまくらぎ交換を、新幹線の運行を妨げない極めて短い夜間作業時間内で完遂することでした。山陽新幹線の逸脱防止ガード整備は営業線上で実施されるため、終電から始発までの限られた時間内で確実に施工を完了させることが絶対条件となります。加えて、新幹線特有の重量を有するまくらぎの交換は、人力中心では多大な人員を要し、作業員の身体的負担、施工精度のばらつき、工期の長期化といった課題が顕在化していました。
これらの課題を解決するために導入したのが、全長94m・6両編成の新幹線用まくらぎ交換機編成「SES」です。掘削、既設まくらぎの撤去、新設まくらぎの敷設、バラスト補充までを一連で処理する機械化施工により、省人化と施工精度の均一化を実現しました。限られた夜間時間内での大量施工を可能とすることで、安全性と効率性を両立させる体制を構築しています。

大規模機械化と広成建設の技術が支える施工

本工事では、SESを用いることで大量更新を可能としましたが、その性能を最大限に発揮させるためには、綿密な事前準備と現場対応力が不可欠でした。SESは単なる交換機ではなく、一連の工程を連続的に行う「移動する精密工場」です。従来の人海戦術では成し得なかった最大198本/日という驚異的な交換速度を実現する一方、わずかな段取りの遅れが全体の進行に直結する特性を持ちます。
そのため、施工前には軌道状態や線形条件を詳細に調査し、作業範囲・手順・時間配分を具体的に設定しました。施工中も機械任せにせず、オペレーターと地上作業員が連携し、交換位置の精度や締結状態、仕上がり状況を逐次確認しました。また、夜間という限られた時間内で確実に完了させるため、資材搬入・搬出の動線計画や供給体制を事前に整理し、作業時間を最小限に抑える工夫を重ねました。
機械化による省力化と、人による確認体制を組み合わせることで、安全性と品質を維持しながら大規模更新を着実に進めました。

SES施工で切り拓く——次世代の鉄道メンテナンス

本プロジェクトにおいて、SESのような特殊専用機を用いた大規模施工を当社が担うことができたのは、長年新幹線の保守を支えてきた実績と、鉄道特有の厳格なルールを熟知した高い組織力があってこそです。このプロジェクトを通じて得た、最新鋭機を極限の制約下で使いこなす運用ノウハウは、当社の「大規模機械化施工のフロントランナー」としての技術力をまたひとつ押し上げ、次世代の鉄道メンテナンスを牽引する大きな原動力となりました。
今後は、2052年度まで続く山陽新幹線全線の地震対策プロジェクトの中核を担い、揺るぎない安全を支え続けるとともに、この「日本発の高度な機械化工法」を他路線や海外の鉄道プロジェクトへも展開していくことを目指します。私たちはこれからも、最先端の技術と現場力を融合させ、日本の、そして世界の鉄道インフラの未来を力強く支えてまいります。

プロジェクト概要

施工時期 2026年2月
施工場所 広島県広島市
概要 逸脱防止ガード新設工事
工法等詳細 新幹線用まくらぎ交換機編成「SES」を活用し、掘削から既設まくらぎの撤去、新設まくらぎの敷設、バラスト補充・整正までを一連で行う機械化施工を採用しました。連続作業により、限られた夜間時間内でも大量かつ高精度な更新を可能としています。省人化と施工品質の均一化を同時に実現する工法です。

プロジェクトメンバー

所長
平田 友隆
広島支店/広島新幹線保線統括作業所所属。本工事を統括する責任者。工程・安全・対外調整を担い、最終判断を行う立場として現場を後方から支えている。
細田 大貴
広島支店/広島新幹線保線統括作業所所属。SES現場責任者として現場オペレーションと連携し、工程全体の流れを俯瞰して調整を行う10年目の中核技術者。
重石 純弥
広島支店/広島新幹線保線統括作業所所属。SES作業では、現場責任者としてまくらぎ交換工程を確実に遂行しながら、前後工程とのつなぎ役を担う9年目の中核技術者。